
今回紹介するのは「からくりサーカス」です。藤田和日郎先生が週刊少年サンデーにて連載していた人気看板漫画の一つです。
小学5年生の「才賀勝(さいがまさる)」は大手家電メーカー「サイガ」の社長である父親「才賀貞義」の事故死によって、莫大な遺産180億円を相続した事をきっかけに命を狙われていました。
そんな折、一人の青年「加藤鳴海」は偶然にも勝と出会い、手を差し伸べる事を決意します。
しかし、勝を追ってきたのは人間ではなく、高い戦闘能力を持つ人形使いたち。
窮地に陥った二人は突如姿を現した「懸糸傀儡(マリオネット)」を操る銀髪の少女「しろがね」に助けられます。
こうして、日本で出会った三人は「一人の男」の手によって、数奇な運命の歯車に捲き込まれていきます。
本作は最初は勝と鳴海、しろがねの三人が集って行動を共にするのですが、後に散り散りになってしまい、勝パートと記憶喪失になってしまった鳴海パートの二人分のストーリーに分かれ、話は進んでいきます。
また「白銀(バイイン)」と「フランシーヌ」、「才賀正二」と「アンジェリーナ」のそれぞれの過去回もあり、その二つの物語を含めた長き世代を跨いだ因縁の物語が今作は綴られていきます。
からくりサーカスの魅力は運命とは関係のない人たちもがんばる所です。
勝としろがねと一緒にサーカスをして暮らしていた「仲町サーカス」の皆さんも自分たちとは関係のない事のはずなのに勝としろがねのために首を突っ込んでくれて、特殊能力もないのに一般人としてかなりの活躍を見せてくれます。
真夜中のサーカスの最高幹部「最古の四人(レ・キャトル・ピオネール)」の内の三人も忘れてはいけない存在。
「アルレッキーノ」や「パンタローネ」、「コロンビーヌ」の話が進む度に徐々に変わりゆく心境の変化も読者の心を打つものがあります。
「ドットーレ」さんはすごく損をしています。
他にもからくりサーカスには一人の男に運命に振り回されながらも我が人生に一遍の悔いなし、という人間賛歌の美しさが描かれているのが見所です。
今作の話のメインとなるのは「ゾナハ病」という奇病。
他者を笑わせなければ呼吸困難に陥ってしまって発作を起こしてしまうという謎の病気です。この病気で死ぬ事はないので、患ってしまった者は死ねない苦しみを味わい続ける事になります。
勝は小学5年生の少年。弱気で気弱、いじめられっ子な少年でしたが、鳴海との出会いで強い影響を受けていき、逃げてばかりでは駄目だと決意。
例え自分の正体や、残酷な真実に当たってしまったとしてもへこたれずに何度も立ち上がって前に進む強気さを手に入れていきます。
その勝が培ってきた姿勢は多くの人や懸糸傀儡に影響を与え、黒幕の企みすらも凌駕するたくましい存在となっていきます。
鳴海は直情的な熱血漢の19歳の青年。得意の中国武術で勝を守り、しろがねの懸糸傀儡「あるるかん」と共に戦ってくれる頼もしい存在です。
ゾナハ病を患っているのですが、鳴海自身が堅物な面があるので人を笑わせるのに向いておらず、発作を抑えるのに苦労している一面を持っています。
後に記憶喪失になってしまい、勝としろがねとは別行動に。ゾナハ病の脅威を目の当たりにし、記憶を失っても尚、戦う決意をします。
しろがねは長い事サーカスで暮らしてきた18才の少女。才賀正二の命によって勝の護衛を頼まれました。
勝の事を「お坊ちゃま」と呼び、勝に対して優しくも厳しくも、時には過保護に思われるくらいに接してきます。
特に勝がいなくなったりすると彼女は大きく取り乱してしまい、何もできなくなってしまいます。
そんな時は鳴海に相談したり、励まされたりする事で落ち着いていき、しろがねにとって鳴海は徐々に大きな存在へとなっていきます。
どこか人間味のない部分もある子ですが、勝や鳴海と関わる事で色んな感情を得ていきます。
「そして、その勝に僕はなる…」。気になった方は是非読んでみて下さい。それでは!