
今回紹介するのは「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」です。
一年戦争末期のクリスマスに起こってしまった、一人の少年が戦争の残酷さを学ぶ物語。機動戦士ガンダムの外伝OVA作品です。
宇宙世紀0079年12月9日。一年戦争も佳境の中、地球連邦軍北極基地はジオン公国軍特殊任務班「サイクロプス隊」の奇襲を受けていました。
サイクロプス隊の狙いは打ち上げ準備が進むシャトルに積まれた新型ガンダム「NT-1 アレックス」の奪取。
圧倒的な力で守備隊を蹴散らすサイクロプス隊でしたが、任務完了を目前にして仲間の一人「アンディ」が死亡。目的のシャトルが宇宙に上がる事を許してしまいます。
このままじゃ引き下がれないサイクロプス隊は新型ガンダムを追いかけ、宇宙へと上がります。
一方、連邦とジオンのどちらにも属さず。唯一中立を保ったスペースコロニー「サイド6」に住む少年「アルフレッド・ユズリハ」は戦争ごっこが好きな少年で戦争中にも関わらず、平穏な変わらぬ日々を過ごしていました。
ある日、アルはコロニー内に入って来たザクⅡ改を追いかけてそのパイロット「バーナード・ワイズマン」と出会います。
そして、アルとは親しい知り合いでもある「クリスチーナ・マッケンジー」とも再会。
クリスとバーニィ、アルは彼らの戦いの目撃者となります。
今作は当時だとガンダム初のオリジナルOVA作品。富野由悠季監督が関わらない初の宇宙世紀ガンダムでもあります。
全6話と短く、機動戦士ガンダムの外伝作品ではあるのですが、ガンダム本編の要素はそんなにないので見やすくて、ガンダムってこんな感じの作風なんだ、と感覚を掴みやすくガンダム初心者にもおすすめの作品となっています。
戦闘シーンよりもアルがクリスやバーニィを交えて戦争の悲惨さを知っていくという描写に重きを置いている作品でテーマ性が強い作風となっています。
アルの住むサイド6が中立を宣言したのは一年戦争後の1月11日。一年戦争が開戦したのは1月3日なのでその8日後に宣言した事になります。
サイド6は独自の戦力を保持していたものの、領域内やコロニー内にモビルスーツの侵入を許してしまうなど、その戦力は連邦やジオンに比べて微々たるものでした。
更にはコロニー内の研究施設において連邦軍の試作モビルスーツ・ガンダム NT-1 アレックスの稼働テストが行われるなど、その中立性には疑問が残るものとなっています。
連邦やジオンにとっては唯一の非戦闘地域という事もあり、連邦軍のホワイトベース隊やジオン軍もサイド6に寄港した事もあり、船体の修理中には束の間の休息を得られていました。
サイクロプス隊が実行しようとする「ルビコン計画」のターゲット。今作の騒動の引き金、ガンダムNT-1 アレックスは本来ならニュータイプとして覚醒したアムロ・レイ専用に作られたガンダム。
機体の追従性が飛躍的に向上している敏感なガンダムでRX-78-2 ガンダムがアムロの能力についていけなくなっている事も考慮された機体だったのですが、アムロの乗るガンダムはマグネットコーティングという強化が成され、乗り換えの必要がなくなります。
しかも、12月はもう一年戦争が終わる間際。NT-1 ガンダムアレックスがアムロの手に渡る事はどの道なかったという事になります。
アレックス以外にも今作には量産型モビルスーツ「ジム」のバリエーション機体が多く登場し、ジオンも「ザクⅡ」や「ゲルググ」が改良された機体が出てくるのですが、どれも共通して末期に造られたために戦争に投入される事がなかった機体たちとなっています。
アルはサイド6の小学校に通う、戦争やモビルスーツに乗る事に憧れている元気な男の子。
かなりの嘘つきでもあり、無鉄砲。後の展開でオオカミ少年扱いされる事になり、痛い目に遭う事になります。己の自己防衛のための嘘をつき過ぎてはいけないよ、という子供への教育にもなる描写が描かれます。
ジオン軍の兵士であるバーニィとの偶然の出会いからサイクロプス隊と関わるようになり、利用される形でアレックスを巡る事件に巻き込まれる形になってしまいます。
バーニィは若きジオン軍兵士。ザクⅡ改に乗って初出撃しますが、撃墜されてしまい、不時着したところでアルと出会います。
アルがきっかけでサイド6にガンダムアレックスがある情報を手に入れ、それでサイクロプス隊の補充メンバーに選ばれます。
クリスなどには嘘をついてアルとは離れ離れだった兄弟という話になりますが、それが本当のようにアルとは仲良くなっていきます。
戦争には向いていないくらいの優しさを持っており、嘘が下手な青年。彼もまた、下手な嘘のせいでとんでもない事態を巻き起こしてしまいます。
クリスはサイド6のアルの隣の家に越してきた、アルのお姉さん的な存在。
本来は連邦のオペレーター志望なのですが、実はNT-1 ガンダムアレックスのテストパイロットで今回はそのテストのためにサイド6にやって来ました。
嘘という程ではないのですが、連邦の機密事項なのでガンダムのパイロットである事はアルには秘密にしています。
アルの家に忍び込もうとするバーニィを泥棒と勘違いして退治しようとした事がきっかけでバーニィとは仲良くなり、敵同士とは知らずにほのかな想いを抱く事になります。
歴史には残らないポケットの中のような小さな争い。気になった方は是非見てみて下さい。それでは!
