

今回紹介するのは「機甲戦記ドラグナー」です。神田武幸監督らがサンライズにて制作したアニメーション作品です。
西暦2087年。月に誕生した軍事政権による統一国家「ギガノス帝国」が地球の統一連合「地球連合」に対し、一方的に独立を宣言し、宣戦布告。戦火はスペースコロニーと地球本土に拡大し、月面の「マスドライバー」や「メタルアーマー」などの兵器によって、地上の7割はギガノス帝国に占拠されていました。
スペースコロニー「アルカード」に住む主人公「ケーン・ワカバ」、「タップ・オセアノ」、「ライト・ニューマン」の3人はコロニー内でギガノス帝国軍に追尾され、新開発のメタルアーマー「ドラグナー」に乗り込んで戦います。が、ドラグナーには生体認証システムが搭載されており、ケーンたちは正規パイロットとして登録されてしまいます。
これにより連合軍のパイロット候補者が無意味となり、大きな基地に行かないと交代も不可能となった事で、軍は彼らを已む無く連合軍に徴用せざる負えなくなります。
こうして、ケーンたちのギガノス帝国軍と戦いながらも捕虜を守り、地球の連合軍本部を目指す日々が始まるのです。
ドラグナーは序盤は捕虜たちを守りながら地球を目指すストーリーで中盤からは「グン・ジェム隊」というならず者部隊と戦う話。そして、終盤は戦いの舞台を宇宙に変えての最終決戦となっています。
ドラグナーの世界で使われている主戦力MA(メタルアーマー)は本来はメタルワーカーという作業ロボットをギガノス帝国軍が改良し、兵器転用させたロボットです。
開発者の「ラング・プラート博士」はギガノス帝国の「ギルトール元帥」と理念の違いで袂を分かち、博士は開発中の最新型MAと共に連合軍へと亡命します。その最新型MAというのが「D兵器」。「ドラグナー」なのです。
ケーンたちは民間学校のアストロノーツアカデミーの生徒で、素行が悪い学生でした。そこから巻き込まれる形で軍人になり、軍規に全然詳しくないため、勝手に出撃は当たり前。本来なら死刑になるような事を初期は平然とやる問題児たちです。
ケーンたちは初期の頃、捕虜たちが食料や薬品が少ない事を嘆いているのを見て勝手に物資倉庫に侵入し、かっぱらって来ます。
限られた補給品を勝手に持ち出したケーンたちはまずい事をしているのですが、捕虜たちにとっては義賊的な行いとなって好感を持たれます。特にこの件をきっかけに「リンダ」や「ローズ」たちはケーンたちと仲良くなっていきます。
ケーンたちの行いは「決められた道をただ歩くよりも、選んだ自由に傷つく方がいい」を地で行っている訳です。
ここでケーンがリンダと仲良くなれた事は物語上重要となっています。
このように初期の頃は軍人の自覚がないケーンたちですが、本来敵のはずのギガノス軍人から戦術を学んで奇妙な師弟関係になったり、友人の突然の死などのギガノス帝国の悪行を目の当たりにする事で成長していき、少しずつ軍人らしくなっていきます。
グラドスの蒼き鷹「マイヨ・プラート」。ケーンのライバルであり、この物語のもう一人の主人公…というより作中、境遇や因縁が描写されていってどんどん重ねられていった結果、ケーンより主人公になってしまう困った人物でもあります。
真面目で誇り高きグラドス軍人で父であるラング・プラートの亡命によって一時期立場が悪くなるものの、それでもギルトール総帥から信頼を置かれており、多くのギガノス軍人からは尊敬されています。
ドラグナーはロボットアニメでは珍しく、「量産機の方が試作機より強い」という実際の現実通りに描かれた作品です。ガンダムで例えると量産型のジムの方がガンダムより強い、と本作はなっているのです。
ほとんどのロボットアニメじゃ試作機の方が強くて量産型はやられメカみたいな扱いが多いのでこの展開は珍しいのです。
なので本作の量産型ドラグナー「ドラグーン」は勢力図をあっという間に変えてしまう程の性能を有しています。
それだとドラグナーはもういらないじゃないか、という話に本編でもなり、現にドラグナーは解体されそうになります。
ケーンたちも除隊という形になり、礼金として200万ドルの報奨金をもらいます。しかし、ケーンはドラグナーが解体されている所を目の当たりにし、胸が苦しくなります。
ケーンはこれまで生き残って来られたのはドラグナーのおかげであり、思い入れのあるドラグナーが解体されるのは嫌だ、と思って除隊取り消しの契約書にサインし、報奨金を諦めます。ライトもそんなケーンに付き合い、タップは弟たちへの仕送りがあるので躊躇いますが、ケーンの気持ちを汲んで付き合います。
結果、紆余曲折がありながらもドラグナーは何とかカスタム化され、強化される流れとなりました。
筆者はこの話の己の利よりも今まで共に戦ってきたドラグナーたちへの愛着を取るケーンたちが好きでしたね。
大金よりも愛着を選ぶ、しかも壊れやすい機械に対して、というのはなかなかできる事ではありません。愛機への愛情があるキャラというのは見てて良いものです。
後半テコ入れなどで話がごちゃごちゃするものの、見て損はしない、光るものが多くある作品。気になった方は是非見てみて下さい。それでは!