
今回紹介するのは「機工魔術師-enchanter-」です。ガンガンWINGにて連載されていた、化学と魔術が交差するダークファンタジー作品です。
機械を直すのが得意な高校生「叶晴彦」は同じマンションに住んでいる幼馴染で化学の授業の教師「藤川優香」に片想いをしている少年。
ある日、晴彦は優香姉から個人的な事情で放課後、呼び出されます。妄想癖持ちの晴彦はドキドキしながらも職員室に向かいますが、頼まれたのは授業で使うビデオデッキの修理でした。
落ち込む晴彦ですが、大好きな優香姉の頼みを断れないため、修理を了承。更に晴彦は優香姉から大事な人からもらったMDプレーヤーの修理も頼まれ、更に落ち込みます。
気落ちしながらも修理に励もうとする晴彦の前に突然、優香姉そっくりの悪魔「ユウカナリア」が姿を現します。
ユウカナリアが言うには晴彦は恋人の「フルカネルリ」とそっくりであり、晴彦がフルカネルリと別人と知るや否や、ユウカナリアはペンダントに封じ込められているフルカネルリの魂を入れるため、晴彦の魂を抜き取ろうとします。
ところが不思議な事に、晴彦はフルカネルリの魔力だけを吸収。こうして、晴彦は「機工魔術士(エンチャンター)」となり、隙あらば魂を抜き取ろうとするユウカナリアとの共同生活が始まったのです。
今作は序盤は晴彦が色んな人間と悪魔の関係を知りながらもエンチャンターとしての腕前を上げていき、中盤からは晴彦に大きな影響を与える「メルクーリオ」との出会いがきっかけで、人間関係や、人間と悪魔の関係に少し手を加え、その姿を見て楽しむ「カリオストロ」と敵対する流れとなっていきます。
作風としては難しめの理系知識があったり、キャラクターの喋り方がリアル寄りで言葉をその場面場面で考えながら、選びながら喋る台詞回しが特徴的です。
エンチャンターは人間が悪魔と契約するとなる事ができます。
なった際はオッドアイになるのが特徴です。契約の仕方は紙が肉体関係を持つかで成立します。
肉体関係と言っても少年誌なので後者の契約方法をしたとしても台詞くらいで済まされいます。
エンチャンターとは作った物に対して魔力付与(エンチャント)する能力を持った人たちの事です。物を作る方はおまけで作れる物が多い程、魔具の幅が広がるというだけで、魔力付与そのものに価値があります。
魔力付与のやり方は難しくはなく、ただどうしたいのかを心の中で思うだけ。それだけで作っている間に魔力付与はされていきます。要するにどういうつもりでその物を作っているのかが反映される訳です。ただ、その物に対する知識が足りていない場合は望んだものは出来上がりません。
物を作る時に依るところは自分の中の自戒や善行、信念といった倫理です。それを踏み外さなければ望んだものは魔力付与されて出来上がります。
難しく書きましたが、簡単に言うとその人を悪魔から守りたい、と思いながら作ったお守りにバリアのような結界能力が魔力付与される、という感じです。
晴彦は他人の空気の中にうまく混ざれる、機械関連も人間関係も器用に立ち回れる青年。その分、厄介事に巻き込まれやすく、振り回されたりと苦労人な一面もあります。
事件に巻き込まれた際は突っ走って解決するタイプではなく、思案したり、他人の意見を聞いたりと問題に遭遇してもすぐに打ち破ろうとはしないタイプの青年でもあります。
最初はナイフの作り方がわからない一般的な高校生なのですが、フルカネルリに与えられた力と持ち前の探究心でどんどん技術力を上げて成長していきます。
優香姉に対しては奥手で、優香姉本人もマイペースで鈍感なので、なかなか生徒と先生という立場を捨て切れずに悩むところもあります。
もう一人の主人公ユウカナリアは優香姉とそっくりの見た目ですが、性格は真逆で底抜けに明るい裏表のない女性。エンチャンターや悪魔に関する知識は豊富ではあるものの、自我の理論構築がない所があります。
悪魔のため、長生きなのですが、フルカネルリがいなくなってから時が止まっているところもあって見た目より幼く感じる一面も持ち合わせています。
彼女は作中、晴彦に対して隙あらば何度も魂を抜き取ろうとします。彼女の晴彦とフルカネルリへの想いが最終的にどう着地するのかが彼女にとっての物語のゴールとなっています。
他にも晴彦の周りには医者の「パラケルスス」やその近くにいる世話役の寡黙な少女「アイ」。鑑定士の「ヒルブレヒト」などなど、晴彦の周りには頼もしくあり、アドバイスはするけれども分を弁えて軽々しく首を突っ込まない、あくまで当事者たちに答えを見つけさせるようにする大人たちが多く登場します。
果たして、晴彦の優香姉への想いは伝わる事があるのか?気になった方は是非読んでみて下さい。それでは!